死神の歌―縛られた死神―Vol.3

ロビン「ケイト、彼を知ってるのか?」
ケイト「ええ、数年前に会ったきりだけど・・・・。」
とにかく、さっきの言葉が気になる・・・・
遥が壊れた日・・・。あれは、どういう意味だ?

机の上を片付けて、コーヒーを並べ
全員の視線は和彦に集中していた。
和彦は、机にある写真立てを見て辛そうな顔をした。
そして、手に取り・・・語り始めた。

和彦「あんな実験さえなければ・・・・遥はこの写真のまま
    だったのに・・・。」
睦「あんな実験?」

十数年前・・・・

俺の父親と遥と光の父親がやり始めた実験
改造人間・・・・

ロビン「改造人間?」
和彦は頷いた。
和彦「元々研究者のだった二人は何処かおかしくて考えていることが
   家族ですら分からないほどだった。そんな二人が改造人間を作るなんて
   どうせ、夢物語でも見てるのかって思っていたけど・・・
   本当になるとはな・・・・。」
睦「あの・・・その改造人間ってどんなんですか?」
和彦「筋肉倍増して、ジャンプ力は軽く10メートル以上軽く飛ぶなどと
    言った学者の夢物語から始まった。これを完成させて学会に出して
    政府に売るつもりだった・・・。」
ケイト「だった?」
悲しい顔をして語り始めた。
和彦「その実験は、人間を使ってやろうと言い出したんだ。遥の父親が
    だけど効果が男性ではあまり分からなかった・・・。
    二人は悩んだ・・・・早く学会に発表して政府に売り込むことしか
    考えていなかった。だけどこの悩みが新たな悲しみを増やすことになった。」
カオルは、なんとなく話が見えてきたのだ。
カオル「もしかしてさ・・・・その話の悲劇のヒロインって遥のこと?」
和彦「その通り。」

カラン
光「父さんは、名誉と更なる地位欲しさに姉さんを使った。」
龍は、黙って光の話を聞いていた。
光「その頃、姉さんは和彦さんと婚約を約束されている身で
  一族の誇りともいえるほどの仲。すべてを壊したのは紛れもない・・
  父さん達だ!実験は・・・成功というよりも失敗に近いな・・。
  研究室から出てきた姉さんはもう俺の知っている姉さんじゃなかった。」
龍「・・・・。」

聖人「遥じゃなかった?どういう意味だ?」
和彦は、写真立てをテーブルに置き語りだした。
和彦「研究室から出て来る時、俺と光それから綾乃はあの笑顔で
    出てくる遥だと思っていた。いつもの様に『なんとも無かったよ』って
    出てくるかと思った・・・だけど・・・・彼女は死人同然の生気の無い
    瞳で出てきた。」
全員は、息をのんだ。どんな姿で出てくるのかを想像できたからだ。
その姿はまるで幽霊のような歩き方で、黒い髪もボサボサの状態で
顔の表情も無表情の状態で研究室から出てくる遥の姿が想像できる。
和彦「その後から、彼女は人が変わったように豹変した。
    精神は安定したが元の遥ではなかった・・・表情は無で
    何を考えているかもわからない・・・気がついたら彼女は
    武術などを習い始め、明らかに前の遥とは違う。」
写真をみて和彦は少し遥を愛おしい視線で見た。
和彦「でも、それでも俺は遥を好きだった。
    どんなに変わっても遥は遥だって思っていた。だけど・・・
    ある日遥は、学校で殺傷事件を起こした。原因は不明。
    遥は退学になり、俺も婚約が破棄され違う家のご令嬢と
    婚約されることになった。遥は、益々壊れ始めてある寒い寒い
    雪の日に彼女は消息を絶った。誰にも知られることも無く・・・・。」
聖人「その後の遥の目撃証言は?」
和彦は黙って首を横に振る。
和彦「ただ、君達のリーダーさん何故この写真を持っているのかが気になる。」
睦「どうして気になるんですか?」
和彦「この写真は、フィルムを合わせて世界でたった4枚しかないだ。
    ましてや他人に渡すなってありえないからな。」
ロビン「龍の過去に関してはチームである俺たちは何も知らないんだよ。」
ケイト「私達がこのチームに入る前からずっといるからね。」
和彦「あの・・・その人の写真かなにかありますか?」

会社出入り口前

光「姉さん、また会いに来るよ。」
龍「私は・・・・姉さんじゃない。」
光は、ふっと笑い龍の前に立ち龍の目線に合わせ顔を近づけた。
光「姉さん・・・・弟の僕が見間違えると思う?
  姉さん・・・血が・・・姉弟の血が教えてくれるんだよあの人が姉さんだって。」
龍「デタラメな事を・・・。」
光「なーんてね、でもね姉さん・・・癖は治らないものだよ。」
龍「!」
光は、ショートの髪の毛の先を指先でくるくると始めた。
光「この癖治っていないんだね。ロビーで見つけたときから分かっていたよ
  髪の毛が長いときの癖がなくなっていないんだなぁってね。
  またね。」
ニコニコした顔で車に乗り、その場を去った。

オフィス

聖人は、昔一度だけチームで撮った集合写真を持ってきた。
聖人「これなら載ってるよ龍の顔、ほらこの黒髪の小さいのがうちの
    リーダー桜木 龍。」
和彦「え・・・・これは・・・・。」

テーマ : 自作小説 - ジャンル : 小説・文学

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